学習法について提案する前に、まずは前提となる第二言語の習得プロセスについて、簡単に説明したいと思います。
僕の学習法に関するすべての根拠は、この第二言語習得理論にあるので是非参考にしてみてください。
では早速、第二言語習得で前提となる人間の習得プロセスを紹介したいと思います。

見た目はすごく複雑そうですが、そんなに難しくありません。
簡単に解説したいと思います。
まずは一番左側にある第二言語インプット。
これが言語(英語)習得に関して一番必要なものになります。
第二言語インプットを簡単に言うと、英語に触れること。
例えば、英語の映画を見たり、歌を聴いたり、本を読んだり、文法の勉強をしたりと英語に触れて、自分の中に取り入れることをインプットとよんでいます。
英語を学ぶためには英語に触れる。
当たり前のことですが、一番大切なことです。
そして、その次にあるのが中間言語システム。
言葉は難しいですが、これも言いかえれば簡単です。
中間言語システムとは、発達段階にある第二言語のこと。
例えば、今あなたが使っている英語が中間言語システムということになります。
第二言語として使用しているため、時には語順を間違えたり、単語や発音を間違えたりもします。
そのような発展途上の言語のことを中間言語システムと言います。
そして一番右側のアウトプット。
これは実際にその言語(英語)を使ってみるということになります。
例えば、英語を話したり、英語を使って日記を書いたりなど、実際に自分で英語を使うことをアウトプットと呼んでいます。
つまり、「インプットで英語を頭の中に取り入れ、それが中間言語システムになり、その中間言語システムからアウトプットが行われる」、という流れを示したのがこの図になります。
そしてこの際のポイントが、中間言語システムに向かって伸びているたくさんの矢印です。
実際の英語学習に大きく影響を与えるのがこれらの矢印です。
言い換えると、この矢印の部分を理解することで、効率の良い学習法を見つけることができるということになります。
では簡単に見ていきましょう。
まずはUG。
これは第二言語習得論の中で最も大切な概念である「普遍文法 (Universal Grammar)」のことです。
簡単に言うと、人間には生まれながらにして、脳の中に、言語を習得する装置が備わっていて、その装置のことをUGと呼んでいます。
つまり、その装置のおかげで人間は言語を習得することができるため、中間言語システムに影響を与えています。(UGに関して気になる方はこちらで簡単に説明しています。「太郎の花」の例を見ると分かりやすいと思います)
次にL1知識。
このL1というのは母語のことです。
もちろん僕たち日本人の場合は日本語のことです。
僕たちは英語を学ぶ時に、日本語の影響をかなり大きく受けています。
次に一般認知システム。
これは、すでにひとつの言語を習得した後に学習をしているため、物事の概念などの理解は一通りできているということです。
例えば僕たちは、「正方形」という概念や、「時間」という概念をすでに知っている状態で英語を学習するため、元々知っている概念と結びつけるだけで、squareやtimeという単語の意味を理解することができます。
次は、内的学習者要因。
これは自分の中の、英語学習に影響を与えるもの。
例えばモチベーションなどが内的学習者要因と言えます。
一方で、外側からの矢印である、外的学習者要因。
これは、外部(自分以外)からの英語学習に影響を与えるものです。
例えば、学習場所などが外的要因のひとつになります。
そして、もちろん先生たちからの指導、も中間言語システムに影響を与えます。
先生からのフィードバックによって、文法の間違いに気づいたり、言ったこと(アウトプット)を修正したりすることができます。
人間はこのようなプロセスで言語を学んでいる、ということがたくさんの研究から明らかにされてきました。
言い換えると、中間言語に影響を与えている部分を工夫することで、より効率の良い学習法が手に入るということになります。
っということで、上でお話しした「母語の影響」と「学習者要因」、そして「インプット」「アウトプット」についてもう少し詳しく見ていきたいと思います。