英語学習において一番オススメされる学習方法をご存知ですか?

おそらく誰でも一度はオススメされたことのある方法です。

それが今回のテーマである音読です。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。

ほとんどすべての先生が音読をしなさいという一方で、どのように音読をするのか、なぜ音読がいいのかを説明してくれる先生はほとんどいません。

やり方も目的もわからず音読をしたとしてもその効果はほとんど得られないため、間違った音読の仕方で音読を行い、「効果がなかった」っと感じている人がたくさんいるのが現状です。

なので、今回は正しい音読のやり方と、効果をシェアしていきたいと思います。

音読の本当の効果

ではまず音読の効果から確認していきましょう。

音読は正しいやり方で行うことで、特にリーディング、リスニング、発音、単語力を伸ばすことができます。

「え?」って感じだと思います。

しかし、実際、ほとんどすべてのスキルを伸ばすことができるのが音読です。

僕がお勧めしているのは音読の中でも、特にオーバーラッピング、というものです。

音読自体にはシャドーイングなどいろいろな種類がありますが、一番のオススメは、CDをかけながら(音源を聴きながら)、スクリプトを見て、口に出していくオーバーラッッピングです。

ではその理由と一緒に、どのように音読をするべきか、なぜ上で挙げたスキルを伸ばすことができるのかを具体的に見ていきましょう。

実は知らない音読のやり方

音読と言えば皆さんどのような形で行いますか?

僕が今まで見てきた生徒さんの中で一番多いのが、例えばTOEICの点数を上げたい人が、 TOEICの文章を音読する、というやり方です。

仮にTOEICのスコアが850点ぐらいで、どうしても満点を取りたいという人が上記のやり方をすれば効果はあるかもしれません。

しかし、仮にあなたがTOEIC500~700点前後だとすれば、このやり方は口の体操をしているだけで、全く時間の無駄ということになります。

なぜかというと、第二言語習得の理論を元に解説すると、自分のレベルより少し難しめのレベル(専門用語ではi+1のレベル)のものを学習すると、一番効率よく学習できると言われています。

そして、音読をする際に一番大切なことは、意味を考えながら行うということだからです。

なので、 TOEICのスコアが700までの場合には、高校受験レベル、言い換えれば英検3級レベルの文章を音読してください。

え、簡単すぎると思いましたか?笑

では、こうお伝えするとどうでしょうか。

実際に中学校の段階で、実は関係代名詞や分詞、完了形の学習をしています。

つまり、高校入試レベルの英文の中にもそれらの文法が使われた文が出てくるということです。

そして最大のポイントは、なんとなく意味がわかればOKというわけではなく、文の形をきちりと理解した状態で音読をするということです。

例えば、以下の文章

The man whom you saw at the museum yesterday has collected paintings drawn by famous artists.

この文章は今パッと作った文章ですが、しっかりと文の形を意識して意味を理解できるでしょうか?

単語のレベルは難しくないと思います。

しかし文の構造的には日本人にとって難しいややこしい形になっています。

音読をする際の目的は、このような自分の苦手な文の形をあぶり出すこと、そしてその文の形が入った文章の意味を、しっかり前からCDの速さで理解できるようになることです。

ちなみに今の文章の骨格となる部分は、

The man has collected paintings. 
「その男の人は 集めている(昔から今も) 絵画を」

です。

ここに多くの人が苦手とする、現在完了形「have + P.P(過去分詞)」が使われています。

そこから、細かい説明として、関係代名詞過去分詞の形で説明が入っています。

the man (whom you saw at the museum yesterday)
「その男の人 あなたが 見た 美術館で 昨日)

paintings (drawn by famous artists)
「絵画 描かれた 有名な画家に」

という形です。

全体を見ると

The manwhom you saw at the museum yesterday) has collected paintingsdrawn by famous artists).
「あなたが昨日美術館で会った男性は、有名な画家に描かれた絵画を集めています。」

なんとなくの意味はとれたと思うのですが、きっちりとこの形を意識することができたでしょうか?

このように文章の形を意識した後に、CDと同じスピードで意味を意識しながらオーバーラッピングをすることが本当の音読のやり方です。

そして、なぜ、中学レベルの文章がいいのかというと、「もしこの文章の意味がわからない」という場合には、その原因が単語ではなく、文構造であることが明らかだからです。

おそらく多くの人は自分が苦手な文章の形を意識することができていません。

そしてその部分に気づくことがi+1の1の部分ということになります。

TOEICのレベルの文章だと、文の意味がわからない時、単語が原因で文の形をとれていないのか、文の構造が原因で意味をとれないのかがわかりません。

結果的に、文の意味を理解するのに時間がかかってしまい、効率が悪くなってしまいます。

なので、単語は確実にわかるはずの英検3級ぐらいのレベルがベストということになります。

また、同じ文章を何十回とオーバーラッピングしてください。

初めはCDのスピードについていけず、口も回りませんが、何十回と繰り返すことで、ついていくことができます。

人間は自分の発音できる音しか聞き取ることができないため、CDのスピードについていけない時にはきっちりと聞き取ることはできません。

しかし、繰りかえし練習することで、ついていけるようになる=聞き取れるようになります。

効果と理由をまとめると、

CDのスピードに合わせて意味を理解しながら行う必要がある為、前から意味をとる練習ができ、リーディング力、読解のスピードがアップ

口でついていけるようになるため、発音、リスニング力もアップ

意味をとる必要があるので、その中で出てくる単語の意味も覚えざる終えない

というのが音読の効果です。

以下に音読のやり方をまとめてみると、

パッと見では理解できるが、しっかりと文をとるとなると少し難しいと感じるレベルのものを使う
(プライドを捨てて、簡単めのものを選びましょう。わからない人は英検3級のレベルのもの。オススメの本のリンクを下に貼っておきます)
まずは文の形をしっかりと理解する
(前から意味をとるように)
意味を考えながらオーバーラッピング
(意味がとれない時は一度CDを止めて、文の形を見直し)
同じ文章を何十回、何百回と繰り返し練習
(発音のつながりなども意識しながら、CDの真似をしましょう)

ということになります。

これをしっかり続けていけば、英語力が大きく伸びるので、毎日欠かさず練習してみてください!

P.S.
僕がすべての生徒さんにお勧めしている音読の教材が、文で覚える単熟語、という英検対策の単語帳です。

詳しい理由はこちら