モニターモデルのインプット仮説の部分でも少し触れましたが、英語を習得していく上で絶対に欠かすことのできないものはアウトプットです。

アウトプットとは、自らその言語を発することです。(簡単にいうと読んだり書いたりです)

このアウトプットの重要性を主張したのがスウェインという言語学者です。

このスウェインは、クラッシェンが「理解可能なインプット」だけで習得ががおこりうる、といったのに対して、「理解可能なアウトプット」の重要性を述べました。

これが現在では「アウトプット仮説」と呼ばれています。

この説の中でスウェインは、「インプットだけで、聞き取り能力はネイティブレベルになることができても、アウトプットなしには文法的な正確さや、場面や状況に応じた表現を使う力をつけることはできない」と主張しています。

実際に想像してみると分かりやすいと思います。

どれだけリスニングやリーディング、文法の能力があっても、その人が英語をペラペラ話せるかというと、そうではありません。

実際に多くの日本人はこのような状況にあると思います。

中学、高校で、正確な英文をたくさん読んだり、聞いたりして、文法に関しても細かく学習していきます。(インプット)

しかし、その中で英語を話せる人となると、半分にも満たないと思います。

それはアウトプットの機会が全くないということが原因と言えます。

では、アウトプットがなぜ必要なのか。

それは、アウトプットを行うことで、仮説検証自分の表現出来る限界自分の表現できないことを知ることができるからです。

例えば、相手に何かを伝えようとするときには、アウトプットが必要になります。

会話を例にしてみましょう。

安倍首相の話をしたいとします。

その時に伝える情報はたくさんあります。

政治家、内閣総理大臣、森友問題、9条改正・・・

など。

日本語で話す時にも、その中から自分の伝えられる内容を話していきますよね?

英語の時も同じです。

もし政治家という単語を知っていればpoliticianと言えるかもしれません。

一方、内閣総理大臣という単語を知らずに、prime ministerと言えないかもしれません。

どちらにせよ、実際に安倍首相のことを伝えようとした時のみ、

「自分は政治家という単語を知ってたから言えた」

「内閣総理大臣という単語を知らなかったから言えなかった」

ということに気づくことができます。

そして、言えたことに気づけば、それは喜び、さらにはモチベーションに繋がります。

一方言えないと気づいた時には、その部分を埋め合わせるために調べたりすることで、さらに学習が進みます。

これが、自分の限界をアウトプットから知るということです。

その部分を中心に学習をすることで、効率的に学習を行うこともできますよね。

ではもう一つの仮説検証とはなんでしょうか。

これは、「自分の持っている知識を組み合わして作ることのできる仮説を、実際に試してみることによって、正しいのか間違っているのかを判断することができる」ということです。

今度は、ライティングを例にしてみましょう。

文法知識として、

現在形の疑問文の作り方 

Do you play baseball in the park on Sunday?

を知っている人が、whereの疑問文を学んだとします。

そうすると、その人は

Where do you play baseball on Sunday?

という文章が作れるようになります。

さらにこの人がwhenという単語を聞いた時に、 「whereの時は場所の部分を変えればよかったから、whenの時は時間のところを変えればいいのかな?」という仮説を立て

When do you play baseball in the park?

と検証すると、おそらく正解というフィードバックが返ってきます。

そのことによって、自分の仮説は正しかったという喜びに繋がり、喜びの感情が影響することにより記憶にも定着しやすくなります

一方で、日本語の「どう思いますか?」という表現に関して、「日本語を直訳したら正解だ」という仮説のもと

How do you think?

と書いて提出すると、不正解というフィードバックが返ってきます。

この時には、自分の仮説は間違っていたということに気づき、この時にも、残念にかんじたり、驚きの感情を伴うため、記憶に定着しやすいということになります。
(正しい形はWhat do you think?です)

というように、自分で立てた仮説は、相手からのフィードバックをうけることによってのみ正解か不正解かを確かめることができます。

スピーキングでも同じですよね。

自分の思っている発音で通じなかった時に初めて、自分の発音が間違っていたことに気づきます。

言い換えると、アウトプットによって、インプットから受け取った知識をどれだけ自分で使えるようになっているかを確認することができるんですね。

したがって、現在第二言語習得研究の中で、言語学習において最も重要なことは、

大量のインプットと、少量のアウトプット

と言われています。

インプットだけでも、言語は習得できませんし、アウトプットだけでも言語は習得できません。

必ずこのことを頭において、アウトプットも必ず学習の中に取り入れるようにしてください!